強行なクレームは「人」「時間」「場所」を変える|二次担当者へスムーズにバトンタッチ
担当者では対応しきれない場合、状況を変える
クレーム対応は、担当者が責任を持って解決まで導くべきですが、「お客様が興奮状態で話にならない」「怒りがおさまらない」「会話が堂々巡りで終わらない」などの場合には、シチュエーションを変える3つの方法が効果的です。
①人を代える⇒特別感を与える
こちらがどんなに正当に話しても、お客様が「この担当者は気に入らない」と思ってしまうと、耳を貸してもらえない状況になります。
この場合は、上司などの二次担当者にバトンタッチをしましょう。
「上の人間が出てきた」ことで納得していただけることが多くあります。
②時間を変える⇒クールダウン
その場ですべて対応するのではなく、いったん電話を切るなどして仕切り直します。
時間をおくことでクールダウンの効果が生まれます。
ご立腹はもっともでございます。
社内で解決策を講じさせていただきますので、少々お時間をいただけますでしょうか。
よろしければ、○分後にこちらからあらためて~~
※折り返しの電話はいつするのか、具体的に伝える。
③場所を変える⇒誠意を伝える
電話から直接訪問に改めるなど、場所を変えると、お客様に誠意を感じてもらえることもあります。
・カウンターから応接室に移る
・現場に向かう
・お客様を直接訪問する
二次対応者にバトンタッチするときの留意点
一次担当者から二次担当者へ、正確に事実が伝わるように、それぞれ次の留意点を覚えておいてください。
一次担当者の留意点
短い時間内で、簡潔に情報を伝える
お客様をお待たせしている短い時間内に、お客様の特徴、クレーム内容、担当を変える理由を簡潔に伝える。お客様をお待たせしていることを必ず伝えるのも鉄則。
■電話の保留限界=30秒 ■対面でお待たせする我慢限界=3分
情報を正確に伝える
お客様からお怒りを受けた場合、防衛本能が働き、つい自分の都合のいいように話してしまいがち。「どう話しても受け入れてもらえない」と自分よりに話すのではなく、「***と話したが、□□□とおっしゃっている」と、事実を正確に伝えること。
二次対応者の留意点
素早く事実確認
まず一次対応者に対して「大変だったね」とひと言フォローし、落ち着かせてから素早くヒアリングを開始
謝罪から入らない
まずは自己紹介。一次対応者に不手際やご満足いただけない対応があったことをお詫びし、購入や来店に対する感謝とともに事実確認をします。最初に謝罪から入ると、お客様との主従関係ができてしまうので、必ず自己紹介から始め、部分謝罪を使いながら事実を確認します。
企業姿勢をアピール
二次対応者の対応も基本的に一次対応者と同じですが、より企業姿勢、会社としての考えをしっかりと伝えることが肝要です。
フォロー体制を整えておく
日ごろから一次対応者に「いつでもフォローする」旨を伝えてケアをする。クレームに対して、一次対応者が負担を感じない体制づくりが重要。
一次担当者と二次担当者の対応に大きな違いはないが、二次担当者はより会社という立場で対応している姿勢を見せること。
クレーム対応の全技術:全32回
第3回:クレーム原因は「品質不良」「接客態度」などの4つに集約される
第7回:クレーム解決のステップは「マナー」「聴く力」「話す力」
第11回:電子メールでのクレーム対応|LINEやメッセージアプリ対応法
第12回:お客様に合わせた臨機応変な対応がクレーム解決への早道
第16回:クレームの電話対応では「声のトーン」に変化をつける
第18回:柔らかい印象になる「クッション言葉」を使ってクレームを乗り切る
第19回:クレームは感情を逆なでする「否定表現」ではなく「肯定表現」を使う
第20回:「よろしかったでしょうか」「なるほど」「了解」はお客様を苛立たせる
第21回:「マジックフレーズ」でクレームに対応|誠実さの表現
第24回:クレームのゴールに向けての必須スキル「語尾の依頼形」
第26回:コンプライアンス無視で無理難題を言ってくるクレーム
第28回:お客様に問題があるのに無理難題を言ってくるクレーム
第29回:過度な期待のもと「なかなか効果が出ない」と訴えてくるクレーム
第32回:強行なクレームは「人」「時間」「場所」を変える|二次担当者へスムーズにバトンタッチ
ご質問・疑問点などあればお気軽にお問合せ下さい。
お問合せはこちらマネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。
出典:クレーム対応の全技術