クレーム解決のステップは「マナー」「聴く力」「話す力」

ステップごとに必要なスキルは違う

ここでは、クレームを解決するために留意すべきポイントを時間の経過に沿って整理していきます。

STEP1
初期対応→リレーションづくり 良好な関係の構築 ←「マナー」STEP2
中盤対応→フォーカシング 問題点の把握と整理 ←「聴く力」STEP3
終盤対応→ゴールへの誘導 具体的解決策の提示 ←「話す力」

 

リレーションづくり

第1ステップの「リレーションづくり」とは、お客様の相談に乗る姿勢、体制づくりのことです。

お客様とのマイナスの出会いを親身な対応でプラスへと近づけ、信頼関係を築くことです。

そのためには、お客様に好印象を持ってもらうことが大切です。

ここで求められるスキルは「マナー」です。

マナーは良い印象を与えるだけでなく、攻撃から身を守る鎧にもなってくれます。

クレームを言ってくるお客様は主観的で感情的なので、一触即発を防ぐためにも初期対応での姿勢、態度には注意が必要です。

具体的には、

好感をもたれる印象作り、声のトーンチェンジ、受容のあいづちや単語の復唱、適切な言葉づかいと謝罪、情報入手のために質問など……。

 

フォーカシング

良好なスタートをきったら、第2ステップの「フォーカシング=問題点の把握と整理」に進みます。

ここでは、実際の被害状況を把握するなど、お客様の目的や問題を明確にします。

しかし、要望や状況を的確に伝えてくれるお客様ばかりとは限りません。

お客様が感情的であっても的確に焦点を絞って「聴く力」が必要です。

同時にお客様の怒りを静める「共感力」も求められます。

たとえば、お客様の「ひどい目にあった」という感情的な問題を軽視して解決を急ぎ過ぎると、「弁償すればいいと思ってるんでしょう」と、怒りのこぶしが収まらなくなります。

「まずはお客様の不安や不満をきちんと受け止め、謝罪した上で、詳しく話を聴く」

という順序で進めば、解決策へと誘導しやすくなるのです。

謝罪の言葉に加えて、「お客様の困っている状況を何とかしたい」という気持ちを伝えていくと、お客様の不満をクールダウンさせ、こじれた感情を整理できます。

 

ゴールへの誘導

問題点が明確になったら、第3ステップの終盤に向けて解決策の提示へと進みます。

ここで求められるスキルは「話す力」です。

「お客様、今後の対応ということで、話を進めさせていただいてもよろしいでしょうか」と、勇気をもって主導権を握りましょう。

会社としての解決策は、お客様にとって望ましいものとは限りません。

そこに誘導するには、お客様に了承いただけるよう協力を促す力が必要となります。

大切なのは、会社のルールを一方的に押しつけることのないよう、お客様の身になって話すことです。

ポイントは、次の2点です。

・お客様の理解度を見ながらわかりやすい言葉で説明
・会社のルールを謙虚に伝えるお願い表現
ワンポイント

ステップごとに、「マナー」「聴く力」「話す力」の3つのスキルが求められる。

 

クレーム対応の全技術:全32回

第1回:みんな最初はクレームが怖い

第2回:お客様の「残念な思い」が怒りとなって表れる

第3回:クレーム原因は「品質不良」「接客態度」などの4つに集約される

第4回:普通の人や高齢者からのクレームが増加中

第5回:クレーム対応時にやってしまいがちな5つの間違い

第6回:クレーム対応の基本|これだけは必ず守りたい

第7回:クレーム解決のステップは「マナー」「聴く力」「話す力」

第8回:対面でのクレーム対応

第9回:SNSに苦情投稿があった場合の対応

第10回:電話でクレームを受けたときの初期対応

第11回:電子メールでのクレーム対応|LINEやメッセージアプリ対応法

第12回:お客様に合わせた臨機応変な対応がクレーム解決への早道

第13回:対応を間違えると危険な不当クレームと対処法

第14回:難クレーム対応プロセスのポイント

第15回:クレーム対応で「対面の第一印象」を上げる方法

第16回:クレームの電話対応では「声のトーン」に変化をつける

第17回:クレーム対応では「フィードバックスキル」が有効

第18回:柔らかい印象になる「クッション言葉」を使ってクレームを乗り切る

第19回:クレームは感情を逆なでする「否定表現」ではなく「肯定表現」を使う

第20回:「よろしかったでしょうか」「なるほど」「了解」はお客様を苛立たせる

第21回:「マジックフレーズ」でクレームに対応|誠実さの表現

第22回:「部分謝罪」と「部分共感」を使いこなす

第23回:簡潔でわかりやすい「説明の3原則」を使いこなす

第24回:クレームのゴールに向けての必須スキル「語尾の依頼形」

第25回:話が長いタイプのお客さまへのクレーム対策

第26回:コンプライアンス無視で無理難題を言ってくるクレーム

第27回:知識豊富で教えて魔タイプのお客様へのクレーム対策

第28回:お客様に問題があるのに無理難題を言ってくるクレーム

第29回:過度な期待のもと「なかなか効果が出ない」と訴えてくるクレーム

第30回:クレームは貴重な情報源

第31回:クレームに強い組織になる

第32回:強行なクレームは「人」「時間」「場所」を変える|二次担当者へスムーズにバトンタッチ

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。


出典:クレーム対応の全技術

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