お客様の「残念な思い」が怒りとなって表れる

クレームを言う

半分以上が初期対応のミス

お客様には、商品やサービスに対しての「事前期待」があります。

期待より商品やサービスが優っていたら満足につながり、満足度が高いほど信頼となって口コミで評判を広めていただくこともできます。

一方、商品やサービスが期待よりも劣っていると不満に感じますが、ここでは2種類のお客様に分かれていきます。

■不満だけれど、なにも言わないお客様
■クレームで意見や苦情を言ってくるお客様

多くのお客様は不満を感じたとき、そのまま我慢するか、期待はずれだったと他社へ移っていきます。

「グッドマンの法則」によると、「クレームを言うお客様」と「言わないお客様」の割合は『1:9』。

クレームを言う方も、電話をかけたり、店を再訪して事情を説明したりと、怒りをぶつけるのは、それなりにエネルギーが必要だとわかっているのです。

そんなエネルギーを使ってでも、クレームを言ってくるのは、お客様にあなたの会社のサービス、商品、またはあなたの接客態度に、大きな期待があったからこそ。

それも事前の期待が大きいほど、「がっかりした」「だまされた」「こんなレベルか」と感じ、大きな怒りへと変わっていくのです。

 

「責任者出せ!」と叫ぶお客様の心理

お客様の怒りの沈静化は、一筋縄ではいかず、様々なスキルが必要になります。

クレームに過剰反応してしまうのは、そのスキルが足りないからに他なりません。

いきなり飛んでくる怒りに緊張し、対応法がわからないことから不安となり、自己防衛本能が働いてしまうのです。

そもそも、クレームを言ってくるお客様が望んでいるのは、

 「今、起きているこの問題を早く解決してほしい」

という案外シンプルな課題です。

にも関わらず、逃げ腰でモタモタ対応していると、たいていのお客様は「上司や店長を出して」と言い始めます。

お客様は「自分の主張をわかってもらえるだろうか」「どのように伝えたらいいか」「言っても無駄かも…」と不安や緊張の中でクレームを言いに来ています。

なにも担当者に対して腹をたてて怒っているのではありません。

「上の人、出して!」は、「早くこの問題を解決して!」のサインなので、お客様の心情を受け入れながら、理解することが大切なのです。

そこを間違えると、お客様は会社全体に悪印象を持ちはじめ、元々のクレーム解決の要望から、さらにエスカレートし、

 「この会社、文句を言って困らせてやらなければ気がすまない!」

と態度を硬化させていきます。

あなたの対応がお客様の怒りを大きくし、引くに引けない状況に追い込んでいってしまうのです。

一方で、クレーム時の対応に満足して、好印象を得たお客様は、口コミで周囲に広げてくれます。クレーム対応はミスを挽回する絶好の敗者復活戦とも言えるのです。

クレーム対応では、お客様の不満を最小限にとどめ、こちらの提案を承諾していただき、不承不承であったとしても解決に持っていければよいと認識してください。

そして、お客様の理解が得られるような真摯な対応ができれば、「私のために一生懸命やってくれた」と信頼を得て、マイナスをプラスへと転換できるのです。

クレーム発生の原因画像

ワンポイント

クレームを言ってくるお客様の心の中は、不安や緊張感でいっぱい。まずはその感情をそのまま理解することが大切。

 

クレーム対応の全技術:全32回

第1回:みんな最初はクレームが怖い

第2回:お客様の「残念な思い」が怒りとなって表れる

第3回:クレーム原因は「品質不良」「接客態度」などの4つに集約される

第4回:普通の人や高齢者からのクレームが増加中

第5回:クレーム対応時にやってしまいがちな5つの間違い

第6回:クレーム対応の基本|これだけは必ず守りたい

第7回:クレーム解決のステップは「マナー」「聴く力」「話す力」

第8回:対面でのクレーム対応

第9回:SNSに苦情投稿があった場合の対応

第10回:電話でクレームを受けたときの初期対応

第11回:電子メールでのクレーム対応|LINEやメッセージアプリ対応法

第12回:お客様に合わせた臨機応変な対応がクレーム解決への早道

第13回:対応を間違えると危険な不当クレームと対処法

第14回:難クレーム対応プロセスのポイント

第15回:クレーム対応で「対面の第一印象」を上げる方法

第16回:クレームの電話対応では「声のトーン」に変化をつける

第17回:クレーム対応では「フィードバックスキル」が有効

第18回:柔らかい印象になる「クッション言葉」を使ってクレームを乗り切る

第19回:クレームは感情を逆なでする「否定表現」ではなく「肯定表現」を使う

第20回:「よろしかったでしょうか」「なるほど」「了解」はお客様を苛立たせる

第21回:「マジックフレーズ」でクレームに対応|誠実さの表現

第22回:「部分謝罪」と「部分共感」を使いこなす

第23回:簡潔でわかりやすい「説明の3原則」を使いこなす

第24回:クレームのゴールに向けての必須スキル「語尾の依頼形」

第25回:話が長いタイプのお客さまへのクレーム対策

第26回:コンプライアンス無視で無理難題を言ってくるクレーム

第27回:知識豊富で教えて魔タイプのお客様へのクレーム対策

第28回:お客様に問題があるのに無理難題を言ってくるクレーム

第29回:過度な期待のもと「なかなか効果が出ない」と訴えてくるクレーム

第30回:クレームは貴重な情報源

第31回:クレームに強い組織になる

第32回:強行なクレームは「人」「時間」「場所」を変える|二次担当者へスムーズにバトンタッチ

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。


出典:クレーム対応の全技術

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