難クレーム対応プロセスのポイント
難クレームの道義的・法的ポイント
難クレーム対応における各段階の注意点やポイントを整理しておきます。
①クレーム申告の内容の聞き取り段階でのポイント
クレーム申告の内容を正確に聞き取る。
事実か、感情(不満、不快、失望、怒り)か、意見か、要求かを見極める。
メモをとり、この段階で不用意に約束しない。
②事実確認でのポイント
事実確認は徹底的に。
事実確認が不明確な場合は、経緯を正しく説明できるかどうかを確認。
③要求内容の検討でのポイント
事実確認に基づき、正当か不当か、社会常識の範囲内で判断して上司に相談。
④対応方針の決定でのポイント
具体的な対応・回答方法(対面か書面か)を決め、誰が伝えるか(上司か弁護士か)を決める。
円満解決にならず、平行線になるのも結論のひとつ。
話し合いが平行線になるのを気にしない。
⑤対応(回答)でのポイント
毅然とした態度で冷静、かつ丁寧に回答を提示。
回答は覆さず、拒絶すると決めたことはきちんと拒絶する。
難クレームは組織で対応する
難クレーム、不当クレームでは、
・法的責任については事実確認をできた場合に損害を賠償する
これが鉄則です。
担当者は、その場しのぎの不用意な対応をしないこと。
もし、不相当な約束をしてしまった場合は、相手の要求をそのまま飲まざるをえなくなるからです。
そのためには、正確に記録を取り、組織全体でクレームに当たることです。
消費者が苦情相談をする機関
ADR機関
消費者が苦情を相談する機関としては、消費者センターやADR機関(裁判外紛争解決手続/国民生活センター紛争解決委員会が窓口)があります。
ADRは、身の回りで起こる法的トラブルについて、裁判を起こすのではなく、当事者以外の第三者に関わってもらいながら、解決をはかる手段です。
裁判に発展するケースは稀
不当クレーマーの常套句として「訴えるぞ」との言葉がありますが、実際には、リコールなどを除いて、個人の苦情、トラブルの場合、たとえ訴えたとしても調停で和解をするケースがほとんどで、裁判にまで発展するケースは稀です。
裁判は多額の費用と膨大な時間がかかるからです。
企業側にとっては、謝罪や賠償に相当する事実があった場合は、当然、それらが必要ですが、相当する事実がなかった場合、または正確な事実確認のためにも、企業側からクレームを言ってきた人に、第三者機関の介入を勧める方法もあります。
「商品によって体調を壊した」という場合は病院を勧め、そして個人と事業者が直接争うのではなく、あえて第三者機関を介入させます。
そのほうがトラブルが早く解決することもあるのです。
お客様に企業側から第三者機関の利用を勧めるのは解決の早道。
クレーム対応の全技術:全32回
第3回:クレーム原因は「品質不良」「接客態度」などの4つに集約される
第7回:クレーム解決のステップは「マナー」「聴く力」「話す力」
第11回:電子メールでのクレーム対応|LINEやメッセージアプリ対応法
第12回:お客様に合わせた臨機応変な対応がクレーム解決への早道
第14回:難クレーム対応プロセスのポイント
第16回:クレームの電話対応では「声のトーン」に変化をつける
第18回:柔らかい印象になる「クッション言葉」を使ってクレームを乗り切る
第19回:クレームは感情を逆なでする「否定表現」ではなく「肯定表現」を使う
第20回:「よろしかったでしょうか」「なるほど」「了解」はお客様を苛立たせる
第21回:「マジックフレーズ」でクレームに対応|誠実さの表現
第24回:クレームのゴールに向けての必須スキル「語尾の依頼形」
第26回:コンプライアンス無視で無理難題を言ってくるクレーム
第28回:お客様に問題があるのに無理難題を言ってくるクレーム
ご質問・疑問点などあればお気軽にお問合せ下さい。
お問合せはこちらマネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。
出典:クレーム対応の全技術