普通の人や高齢者からのクレームが増加中
普通の人がクレーマーに豹変する時代
クレームは昔から存在していましたが、それでも大半は泣き寝入りで、不満を表明しないのがスタンダードでした。
ところが近年は「権利として言って当然」とばかりに、声高に自分の言い分を主張してくるなど、消費者側の心理に変化が表れています。
さらに、企業を困らせる目的の作為的な不当クレームも増加しています。
たとえば、仕事でストレスをため込んでいるビジネスーパーソンが消費者の立場になると、日頃の鬱憤を晴らすべく、理不尽にキレて、クレーマーに豹変する。
こういうケースが増加しています。
納得のいかない状況に遭遇したお客様は、「とりあえず文句を言いたくて仕方ない」との心理状態に陥り、当人も気づかないうちに、「もっと怒りたい」欲求がエスカレートしていきます。
喜怒哀楽のうちで「怒」がやっかいなのは、一度火がついてしまうと、すべて吐き出さなければ気が済まなくなる点です。
その怒りは噴火寸前の火山のようなもので、最初は少し苛立っている程度でも、気持ちを逆なでされたり、非難めいた言い方をされると、一気に怒りが爆発します。
また、自分の気が済むまで抗議を言い続けるなど、社会への不適合を感じさせる、困ったお客様も増えています。
高齢者のクレーム
高齢者によるクレームも多くなっています。
商品やサービスへの不満だけでなく、本筋とは異なる話を続け、時間潰しのように長時間クレームを言い続けます。
筋論型クレーマー
さらに手強いのは、筋道を立て、とことん問題点を追求し、徹底的に解決を要求する「筋論型」のクレーマーです。
筋論型のクレーマーは、「自分自身の勝手な価値観や勝手な期待」を基準にして抗議をしてくるので、時間がかかり、こじれると問題が大きくなってしまいます。
これらのクレームには、お客様の状況を見極めて対処するための、より高度なスキルが必要になってきます。
とくに、脅迫まがいの悪質な不当クレームは、悪意か否かの見極めが必須で、どの時点で消費者センターや顧問弁護士、場合によっては警察などの専門機関にバトンタッチするかがポイントになります。
SNSなどのウェブリスク管理も重要
一方、不快な思いをSNSに投稿するなど、クレームの手法も変化しつつあります。
「不満を友達に言いたい」「みんなに知ってほしい」との軽い気持ちの書き込みが拡散し、企業側が気づかない間にSNS内でクレーマーが大量発生する危険性があります。
これらのウェブリスクには、電話や対面でのクレーム対応とは異なるリスク管理と対処が必要です。
クレームを言ってくるお客様にもいろんなタイプがいることを認識しよう。
クレーム対応の全技術:全32回
第3回:クレーム原因は「品質不良」「接客態度」などの4つに集約される
第4回:普通の人や高齢者からのクレームが増加中
第7回:クレーム解決のステップは「マナー」「聴く力」「話す力」
第11回:電子メールでのクレーム対応|LINEやメッセージアプリ対応法
第12回:お客様に合わせた臨機応変な対応がクレーム解決への早道
第16回:クレームの電話対応では「声のトーン」に変化をつける
第18回:柔らかい印象になる「クッション言葉」を使ってクレームを乗り切る
第19回:クレームは感情を逆なでする「否定表現」ではなく「肯定表現」を使う
第20回:「よろしかったでしょうか」「なるほど」「了解」はお客様を苛立たせる
第21回:「マジックフレーズ」でクレームに対応|誠実さの表現
第24回:クレームのゴールに向けての必須スキル「語尾の依頼形」
第26回:コンプライアンス無視で無理難題を言ってくるクレーム
第28回:お客様に問題があるのに無理難題を言ってくるクレーム
ご質問・疑問点などあればお気軽にお問合せ下さい。


マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。
出典:クレーム対応の全技術