価値観の違いが原因のクレーム事例

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お客様と企業の価値観の相違

「お客様に喜んで頂けること」。

商品やサービスを提供するあらゆる企業はそれを大前提に努力を重ねている。

しかし「サービスが悪い」「期待したような商品じゃなかった」などのクレームが発生するのはどうしてなのか。

それは、お客様が求める価値・期待は十人十色であること。

そして、企業が提供しようとする価値に事前期待と実績評価のズレがあるからだ。

人も企業も、それぞれに違う価値観を持っている。

このような価値観の相違から生じるクレームは避けようがない面もある。

しかし、だからといって開き直るわけにはいかない。

「価値観のズレはあって当然」と念頭に置き、たとえお客様の認識が間違っていても「購入時に説明不足ではなかったか」「紛らわしい広告の表現があったのではないか」と考える努力を続けたい。

まちがっても、お客様の意見を否定する言葉は厳禁だ。

 

個人差やデータで片付けない

化粧品のように、人によって使用期間や期待値に違いがある商品の場合、「思ったような効果がでない」などのクレームが寄せられることがある。

「個人差」の一言で片付けるにはデリケートな問題だ。

データを過信しすぎることも危険だ。

今まで100人に効果があったとしても101人目にも効果が出るとは絶対に言い切れない。

その可能性を無視して、「今までそうだったので」「ほとんどの方に効果がでています」といった一般論を押し付けることは、後々大きな問題に発展してしまうリスクとなる。

これでは、お客様を納得させることはできない。

お互いの価値観の歩み寄りを図るのが、価値観の相違から来るクレームの対処法の原則だ。

商品に期待を寄せていただいたことに対し、まずお客様のその気持ちに「ありがとう」と感謝し、その期待に沿うべき努力をしたいという姿勢をアピールすることが大切だ。

 

良い応対例

「先日そちらでダイエット器具を購入したんですけどね、一向に効果がでないのよ。一体どういうこと?」
応対
「お買い上げありがとうございます。せっかく商品をお買い上げいただきましたのに効果を実感できていないとのこと、ご期待に沿えず申し訳ございません。お客様恐れ入りますがどれくらいご使用頂きましたでしょうか?」
「ちょうど1ヶ月くらいかしら。どうせ個人差があるとか言うんでしょ?」
応対
「確かに、お客様のおっしゃる通り効果の実感には個人差がございます。ただせっかく1ヶ月もご使用頂いておりますので、ぜひもう少し続けて頂けませんでしょうか?」
「どれくらい続ければいいのよ。大体広告に「たった1ヶ月でマイナス5キロ」なんて嘘なんじゃないの?」
応対
「確かにそういう方もいらっしゃるのですが、平均的には2~3ヵ月後から効果が出てくる方が多いようでございます。また使い方次第では、効果の実感が違ってくる場合もございます。お客様、よろしければ使い方について詳しくご説明をさせて頂けませんでしょうか?」
古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。

出典:日経流通新聞 連載記事:クレームを宝に変える

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