消費者庁設立への対応
2000年以降企業不祥事の多発で、食品の表示を信用できない、説明・発表を信用できないなど、企業は消費者の信用を失っている。
今、消費者は不安と不信の中にいて、まさにコミュニケーションの重要性が増している。
いつもながらに企業のトップの謝罪会見では本気で謝罪しているとは思えない決まり文句が羅列され、責任の転嫁、責任の所在が不明であり、誰も責任を取らないといった有様である。
あってはならないことが頻繁に起きているわけだ。
日本は明治維新以来、業界の保護・育成という企業側視点での行政が、今日まで続いた。
企業に軸足を置く政策から、消費者に軸足を置く政策になる。
また、縦割り行政の弊害を克服した一元的な中央省庁が誕生したことは、まさに、行政史上類を見ない画期的な出来事である。
今後、消費者庁が司令塔として、消費者の視点から企業活動をチェックし、消費者の安全・安心に関わる悪質な隠ぺい行為等に対しては、強力な指導力が発揮されるものと期待される。
消費者庁と企業も意識をかえて取り組んでいかなくてはいけない。
一言で言うならば、企業としての「顧客満足」の見直し、顧客満足=消費者保護の観点を要求されるわけだ。
特に適切な顧客満足経営の姿勢・体制、苦情対応とその体制作りだ。
まさに企業のお客様対応が変わるということである。
消費者の4つの権利を満足させる対応として企業側は、
①安全で良質な商品の供給の徹底
②適切なコミュニケーションを通して、商品を知らせ自由に選べる販売・勧誘方法の改善
③情報開示の徹底と商品やシステムのわかりやすい説明
④消費者の意見を真摯に聞く苦情対応
など消費者との良好なコミュニケーションが求められる。
苦情を申し出る人の権利を守ることは、用件を真摯に聞き、迅速に公平に解決することを意味する。
苦情のスタートから応対のゴールにいたるプロセスの対応マネジメントの規定を作り、誰でも応対ができるように準備したい。
消費者にわかりやすい苦情受付窓口であること、例えば、電話・住所・苦情申し出方法・対応時間、連絡方法などを明確にすることが必要だ。
すべてを規制によるものではなく、企業の自主的な取り組みを活性化させることが、実現への近道である。
今後、消費者主役社会においては、企業は消費者被害の未然防止や拡大防止をその責務として自覚し、日頃からマニュアルの整備、教育・訓練を実施すると同時に、行政においては、ルールの透明性や行政行為の予見可能性を高めて、企業が安心して、新商品や新サービスを提供できるよう努めることが重要である。
ご質問・疑問点などあればお気軽にお問合せ下さい。
お問合せはこちらマネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。
出典:日経流通新聞 連載記事:クレームを宝に変える