おもてなしも多様性の時代

おもてなしは十人十色

お客様に対して特別なことをするのが、おもてなしだと思い込んでいませんか?

例えば、大きなホテルや旅館なら、接客マニュアルがあり、社員教育も行き届いているので、丁寧な対応をしてくれるでしょう。

宿泊するお客様は、高いお金を払うため、こまやかなサービスを期待するのも当然です。

でも、すべての旅館やホテルが、高級旅館やラグジュアリーホテルと同じようにもてなす必要はないでしょう。

おもてなしは、十人十色。

十社十色あってもいいですし、十店十色あっても構いません

背伸びをせず、自分の会社らしく、自分の店らしく、自分たちができることを考え、歓待の気持ちを持ってお客様を迎えれば、きっと喜んでもらえます。

街の定食屋さんなら、お客様が味の濃い料理を注文されたときは、ご飯を多めに盛ってお出しする。

薄味の料理のときは、ご飯は少なめによそうか、お新香をいつもより多めにお出しする。

このように、自分のできる範囲で行う小さな心遣いも、立派なおもてなしです。

どんなことをしたらお客様が喜んでくれるのか。

お客様の気持ちに寄り添って考え、自分なりにその心を形にすることが大切です

自分たちでできる小さなことをコツコツ積み上げて、自分たちらしいおもてなしをしてみましょう。

 

海外からのお客様は10年間で4倍

海外からの観光客

コロナ前の2019年に日本を訪れた外国人は、3188万人。

2010年と比べると約4倍以上に増えています。

国・地域別で一番多いのは中国からのお客様で959万人。

次は韓国で558万人。

台湾の489万人、アメリカの172万人と続きます。

私たちが外国人観光客をおもてなしする機会は、待ったなしで増えています。

そして年を追うごとにお客様の旅の目的も、
・「団体旅行」から「個人旅行」
・「爆買い」から「思い出作り」
・「観光」から「こだわりの体験」
へと、変わってきています。

団体旅行では、観光や買い物の行動パターンはある程度決まっていたので、マニュアルなどで対応することができました。

しかし、個人旅行やリピーターが増えるにつれて、旅の目的が買い物や観光から体験や思い出作りに変わると、個々のお客様の要望に応じた臨機応変な対応へと変化が求められます。

お客様に喜んでいただけるように考えて行動する、「おもてなしの心」が以前にも増して求められています。

まさに、私たちの「おもてなし力」が問われる時代になってきているのです。

 

おもてなしにもグローバル化の波

おもてなしにもグローバル化の波

「OMOTENASHI(おもてなし)」という言葉は、2013年に行われた東京五輪招致プレゼンテーションの中で使われ、広く世界に発信されました。

しかし、それ以前から、日本のホスピタリティは世界で高く評価されています

店舗での接客シーンを思い浮かべてみましょう。

海外では、店に入っても店員が無愛想にしていることが珍しくありません。

しかし、日本では必ずといっていいほど、店員が笑顔で迎えてくれます。

笑顔で「いらっしゃいませ」とお客様を迎えることは、私たちにとっては当たり前ですが、こうした細やかな心遣いが海外の方には新鮮に映っています。

買い物をしたお客様には、それが100円の商品であっても、「ありがとうございました」と言ってお辞儀をして見送ります。

私たちが人に感謝を表すとき、別れのときに行うお辞儀は、海外にはない所作ですが、感謝と相手を尊重する気持ちは、外国人にも伝わっています。

「日本に行くと、王様のように扱ってもらえる」とのコメントを、海外のSNSで読んだことがあります。

そう感じてもらえるだけのものが、日本のおもてなしにはあるのです。

一方で、日本人の控えめな態度が、外国人に伝わりにくいことも事実です

奥ゆかしさは日本人の美徳のひとつですが、国際化が進む現在では、海外のお客様との接点を増やしたり、強くアピールすることも大切

おもてなしにもグローバル化の波が来ています。

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。


出典:簡単だから伝わる!語学力要らずの3ステップおもてなし術

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