外国人へのおもてなしは語学ができなくても大丈夫|3ステップで気持ちを伝える
積極的なおもてなし
完璧主義は捨てる
海外旅行中、目的地への行き方がわからないと、国内にいるときとは比べものにならないくらい不安になります。
それは、日本に来られた外国人のお客様も同じ。
だからこそ、私たちのおもてなしの気持ちが、外国人の方には大きな安心になります。
ただ、日本人は何事にも完璧を求める傾向があるようです。
「流暢な英語が話せないといけない」「中国のお客様には中国語で対応しないと」「間違ったら恥ずかしい」などと考え、外国人のお客様対応に、二の足を踏んでしまったことはありませんか。
外国人のお客様のおもてなしでは、こうした完璧主義が足かせになっているのかもしれません。
言葉の壁や失敗を恐れる気持ちにとらわれていると、お客様対応が消極的になってしまいます。
それでは、お客様に「歓迎されていない」という誤解を与えかねません。
まずは自分からアプローチ
もったいないのは、外国語への苦手意識があって、困っている方に気づいても声をかけなかったり、気づかれないようにその場を離れてしまうこと。
笑顔でひと声かければ、「あなたを助けてさしあげたい」という気持ちがお客様に伝わります。
これがおもてなしの第一歩になります。
声をかけるときは、流暢な外国語でなくてもかまいません。
つたない英語で「メイアイ ヘルプ ユー?(いかがされましたか?)」で大丈夫。
日本に来るお客様はアジア圏の方も多く、相手も英語がネイティブでない場合は、カタコト英語同士のほうがかえってお互いに理解しようと努力して、コミュニケーションが進むこともあるのです。
まずは簡単なフレーズを使ってお声がけを。
伝わらないときは筆談やジェスチャー、地図やパンフレットなどのツールで補えば、意外とおもてなしはできるものですよ。
外国人へのおもてなしは3つのステップ
海外のお客様へのおもてなしに必要なのは「寄り添う気持ち」「簡単なフレーズ」「お助けツール」の3つだけ。
この「おもてなしの三種の神器」を使った「3つのステップ」を覚えれば、語学が堪能でなくても、おもてなしはできるのです。
■ステップ1=「お手伝いします」の意思表示をする
■ステップ2=ツールを使ってご案内する
■ステップ3=最後にひと言添える(できればお客様の母国語を使って)
この3ステップで、海外のお客様を自信を持ってお迎えできるようになります。
不安を「ありがとう」に変える
おもてなしの3つのステップは、お客様の心の動きに沿った応対になっています。
言葉の通じない日本で、お困りごとに直面した海外のお客様は、どんな気持ちなのでしょうか。
その気持ちの変化を考えてみましょう。
お客様が誰かに助けてほしいとき、「メイ アイ ヘルプ ユー?」と声をかけられれば、「この人は親身に対応してくれそう」と、まずはホッとしますね。
次に、ツールを使って案内されれば、「何とかしようとしてくれている」とわかるでしょう。
流暢な会話にならなくても、十分にコミュニケーションは取れます。
お困りごとが解決して、最後に言葉をかけられると、「助かった」「ありがとう」という安心と感謝の気持ちが湧いてくるはずです。
おもてなしの3ステップは、私たちがお客様を不安から安心へ誘導していくものなのです。
世界に通じる笑顔の効果
おもてなしの最初のステップは「『お手伝いします』の意思表示をする」こと。
その前提として、お客様から見て、声をかけやすい雰囲気であることも大切です。
そこで大切なのが「笑顔」です。
言葉がわからなくても、その国の文化や習慣を知らなくても、笑顔は万国共通のコミュニケーションツール。
世界中の人たちに、受容する気持ちを伝えられるのです。
難しそうな顔をしていたり、下を向いている人には、声をかけにくいですよね。
顔を上げて笑顔で、「困っていることがあったら、なんでもご相談ください」との姿勢を表現してみましょう。
常に「満面」の笑みでいる必要はありません。
逆に満面の笑みは、急かすような印象を与えることがあります。
そもそも、人はずっと満面の笑顔ではいられません。
疲れて、ふっと無表情になったところをお客様に見られては逆効果です。
おすすめしたいのは、満面の笑顔ではなく、三分咲きの笑顔。
歯を見せずに、少し口角を上げて、軽く微笑む程度の笑顔でいることです。
私たちは仕事をしているとき、常にお客様から見られています。
三分咲きの笑顔は自然で親しみやすく、お客様も私たちに声をかけやすくなります。
まずは三分咲きの笑顔を絶やさずに、お客様が声をかけやすい雰囲気をつくりましょう。
お客様と接することになったら、五分咲きの笑顔にアップします。
伝わるアイコンタクト
接客の現場では、顔を上げて三分咲きの笑顔で「困り事は、なんでもご相談ください」という姿勢を示しましょう。
顔を上げていれば、お客様の状態が見えてくるものです。
何度も地図を見ていたら、道に迷っている可能性があります。
キョロキョロと壁のほうを見渡していたら、トイレを探しているのかもしれません。
その様子に気づいたら、三分咲きの笑顔のまま、そのお客様に意識を向けておきましょう。
そして、お客様が困った様子でこちらを見たら、アイコンタクトを取って「お手伝いします」の意思を伝えるのです。
そのとき、三分咲きだった笑顔を五分咲きの笑顔にアップして、「喜んでお助けします!」の気持ちを伝えましょう。
アイコンタクトは、会話の前のコミュニケーションとして大切です。
目を合わせることで、「あなたを受け入れる準備ができていますよ」とのメッセージを送ることができます。
一方で、目を合わせることなく、いきなり声をかけてしまう人もいます。
これでは、不意に話しかけられたお客様は驚いてしまいます。
具合が悪くてこちらを見られないような場合は別ですが、お客様が何かを聞きたそうな様子のときには、まずアイコンタクトを取って「お助けします」との気持ちを伝えましょう。
こうした意思表示を感じれば、お客様も安心して声をかけられるはずです。
ご質問・疑問点などあればお気軽にお問合せ下さい。
お問合せはこちらマネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。
出典:簡単だから伝わる!語学力要らずの3ステップおもてなし術