お知らせ
NEWS<イベントレポート>2.20 セミナーレポート座談会 前編
配信日:2019.3.19
変化に打ち勝つ組織と教育の課題とは?
2.20(水)、マネジメントサポート グループでは『若手の教育改革と学習する組織への変革』と題して、無料セミナーを開催いたしました。座席数60席の限定募集に対して満員御礼のご来場をいただき、各社の人事・教育ご担当者様からご好評をいただきました。そこで今回は、ご来場いただけなかった皆様へのご報告を兼ねて、当日の運営担当者に古谷も交えて、座談会形式で研修を振り返ります。
『若手の教育改革と学習する組織への変革』
◾若手育成事業 教育改革のためのプランご案内
第二部 『学習する組織を目指して』 基調講演 山根浩二
◾階層教育事業 教育改革のためのプランご案内◾ご相談会
マネジメントサポート 研修事業本部 小川和貴
マネジメントサポート 研修事業本部 井上敦志
マネジメントサポートグループ 代表 古谷治子
(マネジメントサポート NEWS メールマガジン編集担当)
編集部:今回は座談会形式で2月20日のセミナーを振り返るということで、まずは総括からお願いします。
小川:今回のテーマは、環境変化に打ち勝つ組織になるための教育改革でした。当日はメーカー、小売、サービス、金融関係、IT・通信関係、サービス業、団体関係の方など各種業界の人事教育担当の方にご来場いただきました。古谷の最新著書のご紹介も兼ねて、若手の育成や階層教育についてご案内を致しまして、これからの新入社員教育を前に大変参考になったとのご意見をたくさんいただきました。
古谷:新入社員の場合、入社後3年が企業人の基礎を作ると言われますが、教育担当の方々がいかに若手の教育と離職防止に悩んでおられるかがよくわかりました。上司側も離職のことを考えると、「どう教育していいのかが分からない」という声が多く、“教育する側の教育”の必要性を改めて実感しましたね。
編集部:セミナーの内容としては、第一部に古谷社長の基調講演。今どきの新人に対する指導についての講演でしたね。
小川:教育業界で30年以上登壇し、毎年多くの新人さんを見ている古谷ならではの講演でした。お客様からは、「もっと聴きたかった」「資料も欲しい」などのお声が多く、最近の新人の特徴については会場から「ある、ある、まさに!」という反応をたくさんいただきました。
編集部:今どきの新人の顕著な傾向って、どういうところなんですか?
小川:受け身の姿勢がよく見られる点でしょうか。まじめなので、指示されたことに対しては、きちんとやろうという気持ちが強いですね。
井上:ただし、頭で判断する傾向が強いので、「なぜやるのか」がはっきりしないと、なかなか行動に移せない傾向もあります。
編集部:なぜそのマナーが必要なのか、なぜいまその準備が必要なのか、意味が分からないと動けないということですか。
小川:はい、なぜ、私はこの仕事をやらないといけないのかという理由を求めがちなので、自分の中で明確になると動くけど、そうでないと動けない。ですから、「言われたことはできるけど、それ以上のことはできない」と、評価されるのかもしれません。
古谷:昔みたいに、「まずはやってみなさい」という指導は通用しなくなっているんです。やれば分かる、と思っていたら間違い。今は総じて、「これをやるとどうなるか」という想像力が欠如している傾向にあるので、目的をはっきりさせた上で、やり方を指導すべきなんです。ただし、「いちいち言っていられない」「そこまでの時間が持てない」という本音もある。だから、想像性を伸ばす教育が必要なんです。
編集部:理由が分からない場合、「なぜやるんですか」ときちんと聞ける人はいるんでしょうか。
小川:なかなか聞けないと思いますね。できない自分を見るのが嫌、あるいは失敗を極端に恐れる傾向もありますから。
井上:幼い頃から「みんなで横一線」みたいな教育風土で育った世代なんです。優劣をつけるのは良くないとされたので、どうしても一歩前に出るのを敬遠するんだろうと思います。
小川:ごく一部ですが、独立心や上昇志向のある人はぐんと抜けてといくんですが、恐らく大多数は、集団の中で飛び抜けることに躊躇しがちです。
編集部:「横一線」の空気が、かえって二極化を生むのでしょうか。今は、豪華なものに憧れはするけど、ガツガツしてまで求めたくないという風潮もありますね。
古谷:かつては、そういう憧れや欲求が奮起の源になっていました。では、今どきの若手、新人は何に価値観を感じるのか・・・。
小川:「安定」だと思います。「そこそこ大丈夫な感じ」に安心感を感じるのだと。
編集部:多くを望まないんですね。
古谷:贅沢しないでも必要最低限があればいいという考えは清廉ですが、若さに欠けるように思いますね。ここ数年、景気は上昇していると言われますが、所得の中央値は右肩下がりになっています。ここでまた、大きな災害でも来たら、経済は一気にしぼんでしまいます。このままではいけないと思う。若いときは、何をしても暮らしていけるけど、若いうちなんてあっという間です。
編集部: 景気の良さを実感できている人はごくわずかでしょうね。ユニセフの調査では、日本の所得格差は先進国の中でワースト8という緊迫感を感じるデータもあります。
古谷:ですから、若手の教育は緊急課題です。企業の未来を担ってくれる人財はすぐには育たない。新入社員のうちから将来を見据えて長期スパンで指導すべきです。
井上:確かに、今回のセミナーの参加理由では、「社員教育を長期的に考えるために参加した」というお声もありました。
古谷:人事の現場は切迫感を感じておられると思いますよ。若い人もいまの自分だけを見るのではなく、長期的な視点を持つべきです。そのためには小川君、井上君のような世代に奮起してもらわないと。自分たちの視点から教育の重要性を訴えるのが、君たちの役割です。
小川・井上:はい、頑張ります。
編集部:若い世代に奮起してもらうには、どうしたらいいと思いますか?
小川:まず、これまで通用したやり方が今の新入社員には通用しなくなっているという前提がありますから、今どきの傾向に沿って、何事もしっかり理由づけをしてあげることが肝心だと思います。
井上:私も理由づけは大事だと思います。マネジメントサポートグループで昨年まとめた「若手社員像」の分析にもありましたが、今どきの新人は総じて真面目です。そして、就活セミナー等で知識を得て動くことには慣れているので、理由や意味が分かると飲み込みは早いと思います。
古谷:ただし、知識を得るだけじゃ現場では力を発揮できないでしょう。“知識を知恵に変えていく”やり方を指導すべきです。
小川:知恵に変えるという点では、成功体験が必要だと思います。身を以て成果を体感することで、違う景色が見えてくるはずです。そして周囲は、「やればできるんだ」と認めてあげること。承認欲求を満たしてあげることが原動力になると思います。
編集部:チャンスを与えてきちんとフィードバックする。そして、褒めて育てるという指導でしょうか。
古谷:褒める指導は効果的ですが、単に褒めるだけではステージは上がらないと思いますよ。承認欲求は方向性を誤ると、強迫観念のような縛りにもなりかねない。だから、褒めるだけでもダメ、叱るだけでもだめ、良い点、悪い点を本人がきちんと理解できることが大事です。
井上:叱られ慣れていない世代には打たれ弱い人も多いですから、「こうすればもっと良くなる」という目向きな指導が効果的だと考えます。
小川:成長のためには、褒められることも、注意されることも両方必要だということは、誰しも分かっていると思います。ただし、理由が分からない注意に対しては萎縮しがちなので、明快な指摘が効果的かと思います。
一つの結果に対して、Aという点は評価するけど、より良くしていくためにはBという点を頑張るべきだと指摘されると、注意も原動力になるはずです。
編集部:教育する側にも指導力とコミュニケーション力が必要ですね。
小川:コミュニケーションという点では、新人には挨拶や声がけという基礎の基礎から始めないといけないと思います。今どきはSNSでコミュニケーションを取るのが当たり前になっているので、面と向かってのコミュニケーションが苦手という人が多いです。
井上:人事の方から伺った事例では、社内SNSで上司や先輩が使う前から、スタンプで返事をしたり、社内メールで顔文字を使う社員がいて、「これが社外の人への対応だったらどうしよう」と、肝を冷やしたというケースもあります。
編集部:今どきはSNSでのやり取りに慣れているけど、メールは苦手みたいですね。
小川:はい、電話やメールへの苦手意識もスマホ世代の特徴です。ですから、人対人のコミュニケーションはもちろんのこと、ビジネスライクな文章のコミュニケーションも課題だとおっしゃるご担当者様も多いですね。
編集部:やはりマナーの基礎、仕事の基礎からきちんと指導すべきということですね。
古谷:そうです、セミナーでもお伝えしましたが、教育改革は新入社員から始めるべき。基礎がゆがむと修正が大変です。辞められたくないから注意できないというのは大きな間違い。新人には、仕事の基礎をきちんと説明しながら指導をする。そして、小川が言ったように、評価の際は、どういう点を評価するのかを明確にすること。最近では評価システムを詳らかにしている企業様もあります。
小川:私ども研修事業本部でも、企業様の様々な取り組み例をご紹介しながら若手育成のプランをご紹介するようにしています。
古谷:まさにマネジメントサポートが創業から大事にしてきた人間力と教養の育成が重要な時代です。指導する側、される側、各層ごとに適切な学びが必要と言うことです。
以上
前編はここまで。後編では、セミナー第二部の山根浩二講師による基調講演「学習する組織を目指して」を振り返り、教育体系づくりのヒントをご紹介します。