クレームを貴重な資産として活用|クレームで商品開発した事例

クレームから得られるヒント説明画像

クレームは貴重な情報

クレームは企業にとって「貴重な情報」だ。

しかし、顧客からの意見は漠然としていることも多い。

的確な対応をするためには、入手した情報を正確に仕分けして、論点整理をする必要がある。

配電盤メーカーのクレーム活用事例

中小企業では、商品開発部門への巨額投資は難しい。

そこで、ある配電盤メーカーではクレームを製品改良に結びつけるため、月に2回「クレーム情報活用会議」を開催している。

生産、技術、営業、総務のリーダーと社長が集い、製品改良にクレームを活かしている。

クレーム応対が完了した時点で、営業が自社作成の「お客様ご要望リスト」の評価基準にのっとり、顧客満足度などをチェックをする。

規定の数値以下になった項目は、自動的に技術部門にシフトし、品質向上のための分析をする。

このような作業を月に2度行い、改善に結びつけている。

応対のみに終わらせない。

まさにクレームを資産として活用している事例だ。

 

クレームの2パターン

「クレーマー」と「ファン」を見極める

クレームを言ってくる利用者にも2通りのパターンがある。

最初から「2度と使わない」ことを前提に、理不尽な言い分を一方的に押し付けてくる利用者。

他方、その企業の大ファンであるがゆえのリクエストやメッセージを伝える顧客がいる。

どちらのタイプなのかの見極めが重要である。

 

多用な価値観の中からヒントを見つける

なにかあっても沈黙する利用者が9割、意見や想いを伝えてくる利用者が1割というデーターもある。

人の価値観、期待、要望、イメージは千差万別である。

そのため「思っていた商品と違う」「考えていたほど効果がでない」などの感覚の差異による問題がどうしても発生する。

だからといって開き直るわけにもいかない。

クレームから商品開発のヒントが得られ、販売方法の成否が判断できる。

その他、販売行動、配送システム、適正在庫、広告や情報の提供方法、ひいてはクレーム応対への企業スタンスなど、多用な経営判断を再確認するきっかけとなる。

 

クレームから商品開発

この価値観のズレから発生したクレームを元に商品開発をし、ヒット商品を創り出した例は無数にある。

折りたたみ傘

たとえば「折りたたみ傘をカバンにしまったら資料が濡れてしまった。「いちいちカバーを付けるなんて面倒だ」とのクレームから、超撥水傘が開発された。一振りしただけで、水を弾き、水滴は一切残らない。

カーテン

「窓に合うサイズのカーテンがない」というクレームからフリーカットカーテンが開発された。自分で好みのサイズにカットでき、どこを切っても糸がほつれない生地を使用している。

シャンプーとリンス

シャンプー、リンスなど同型のボトルにギザギザをつけることで目をつぶっていても判別できるように工夫した。

飲料

ある飲料メーカーでは、粒粒が自慢のコーンスープの販売したが、「粒が中々出てこなくて飲みにくい」との苦情に対して、飲み口を大きくしスムーズに粒が出るよう改善した。

このように、クレームは大きなビジネスチャンスをつかむことができる重要な情報源なのだ。

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。

出典:日経流通新聞 連載記事:クレームを宝に変える

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