コラム
コラムイメージ画像
クレーム対応の全技術

第9回:SNSに苦情投稿があったときの対応

公式ホームページで謝罪、対応するケース

 近年は不快な思いをSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿するという手法も多く見られるようになってきました。
 以前、東京都内の居酒屋がツイッターで「ぼったくり」と投稿され、リツイートによって悪評が拡散、ついには閉店に追い込まれるというケースがありました。
 このように投稿が店の評判を左右する例は多く、SNS対策として顧客のブログやつぶやきをチェックする「ソーシャル・マーケッター」という役職を設けている企業もあります。
 もはやSNSでの評判は軽視できない時代です。苦情の投稿を放置するのは危険であり、リスクの芽は早急に摘んでいくべきです。
 基本的な対応のステップは対面や電話によるクレームと同じで、迅速な事実確認と素早い対応がポイントです。

 まずは投稿された内容が事実かどうかを早急に確認する。事実とわかれば、タイムラインなどを通じて投稿をした人にコンタクトをとり、謝罪をします。

 「芸能人の***が□□□と一緒に先ほど来店!」など、幸甚の個人情報を社員がSNSで公開したり、「冷蔵庫ひんやりで気持ちいい」と業務遂行上の悪ふざけを動画で流すなど、社会的に影響があるような場合は、公式ホ-ムページ上で謝罪し、今後の対応、企業の姿勢を発表するようにします。
 発表はFacebookやツイッターなどではなく、公式ホームページで行うほうがオフィシャルなものとして世間に認識されます。

 

お客様の主観であっても対応する

 また、投稿された内容が、「(味が)まずい」「(○○が)よくない」などという、主観的なものであっても対応すべきです。「お口にあわなかったようで申し訳ございません。今後はお好みにあうよう努力してまいります」と企業姿勢を伝えます。

 このとき謝罪と同時に、必ず書き込みを取り下げてもらうようにしましょう。

 

虚偽の投稿にはどう対処するか?

 苦情投稿が虚偽であった場合は、多くの企業が放置していますが、内容が不評被害を呼ぶようなものであれば、抗議したり、名誉毀損で訴えることもできます。
 近年は会社を辞めた人が、会社の悪口を投稿するというケースも多々あり、経営者を悩ませています。投稿の内容が社外秘に触れるようなら、抗議をすべきです。

 そのためにも、会社としての許容範囲はどこまでか、線引きの取り決めが必要です。

 

投稿者の心理を知っておこう

 投稿者はなぜSNSを利用するのでしょうか。商品やサービスへの不満で解決を望むなら、直接申し立てをするほうが早くて確実です。

 それなのに、SNSを利用するのは、「知らせたい」「被害を自慢したい」という気持ちが働いているからだと思われます。

 投稿についての事実確認を受け、謝罪を受けるとあっさり投稿を引き下げる人が多いのもその証拠。アピールしたい気持ちが満足したからでしょう。これがSNS時代の特徴です。このことからも、早急な事実確認と謝罪が必要なことがわかります。

 

年代、役職を問わず社員研修の場を

 SNSへの苦情投稿はお客様だけでなく、その会社の社員や元社員からの投稿も問題になっています。それも20代、30代が中心と思われがちですが、50代、60代の投稿も問題視されています。
 20代、30代で多いのは、体験したことをおもしろおかしく投稿するケースです。ホテルやレストランへの有名人の来店情報を社員が投稿し、企業の信用性を失わせる問題も同様で、安易な行動の社会的な影響については、組織として指導をするべきです。
 一方、50代、60代は個人、私人として、自分の会社を匿名で非難するというケースも多く見られます。たとえ私的なものであっても、立場ある社員が所属する会社を非難するのは、組織にとっても本人にとっても危険な行為です。
 若年層の約3割が業務中にSNSを利用していて業務に支障をきたしているという声もあります(「2014年ソーシャルメディアガイドライン運用者向け調査」より)。企業としては、年代、役職を問わず、SNSの影響力、扱いについて研修の機会を設けるべきでしょう。
 若年層と熟年層、年代ごとの社員の心理を考えた指導教育が大切であり、監視ではなく、有効活用するように仕向けて行くことが大切です。

 

ワンポイント

お客様からのクレームだけでなく、自社の社員の投稿が社会的に問題になることもある。

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。

出典:クレーム対応の全技術