クレームの解決策を提案するコツ|時間・数値化・結論先出し

 

解決策を提案するポイント

クレーム応対をまとめる技術として「解決策を提案するコツ」をお伝えしたい。

今までの謝罪モードから一転し、会社として自信を持った解決策に、どのように移行していけばよいのか。

適切な謝罪を実践した後は、「お客様、今後の対応のお話を進めさせていただきますが宜しいでしょうか」と勇気を持って会話の主導権をとりたい。

提案は、表情や声のトーンも自信を持つこと。

お客様の怒りに流されないためにも、謝罪と解決策提案を区分することが重要だ。

ここで必要なスキルは「解決策の提示に向け話す力」。

クレームは、お客様の要望を完全にかなえることが難しい場合が多い。

お客様の希望に「NO」を言わなければならないこともある。

会社側の都合を押し付けることなく、謙虚にこちらの解決策に歩み寄ってもらえる「お願い表現」で伝えることが望ましい。

こちらの提案は言い慣れていることであるが、お客様は始めて聞くことも多い。

また、どうしても法律・規則などの専門用語になりがちだが、できるだけわかりやすい話し方と簡潔な表現で、理解できるように伝えたい。

 

わかりやすい話し方とは

①時間を明確にする

「1~2分お時間を頂いて遅延理由について説明させていただいてよろしいですか」

②数字化する

「お客様の商品の破損については今後の対応として2点ご紹介させていただきます」

③結論先出し

「結論から申し上げて、あと30分程度お待ちいただきたいのです。と申しますのは・・」

その後は、分かりやすい表現を伴って具体的な対策を伝えていくわけだ。

ここではお客様が次に自分がとるべき行動は何なのかが具体的にイメージできることが大切である。

例えば・・・

「小川様、大変申し訳ございません。先ほどの商品ですが、私どもの不手際により、貴社の重要な会議資料がこちらに残っていることが判明いたしました。重ね重ね恐縮ではございますが、即刻社員が伺いますので、お急ぎのところ申し訳ないのですが30分ほどお待ちいただけませんか。」

と、分かりやすく内容を落とし込みながら、お客様の理解協力に繋げていくよう伝えたい。

 

クレームは学習のチャンス

通常、何も問題がない場合、お客様は企業とクレームでの接点は持たない。

また、その接点がないと企業のクレーム対応の仕組みは全くわからず、永遠に学習機会はない。

嫌なクレームやトラブルであっても、お客様にとっては企業のクレーム対応姿勢を学習するチャンスになり得る。

クレームを通じたお客様との接点は、自分達の仕事を理解してもらえる場であり、理解深化の機会と捉え、丁寧に接することが大切である。

クレームであっても「さすが」を勝ち取ることは可能であり、「そこまでしてくれるなら」との見直しがロイヤリティの高い「永久顧客」になるチャンスでもある。

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。

出典:日経流通新聞 連載記事:クレームを宝に変える

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