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クレーム対応の全技術

第2回:お客様の「残念な思い」が怒りとなって表れる

半分以上が初期対応のミス

 お客様には、商品やサービスに対して、事前に「期待」があります。期待より商品やサービスが優っていたら満足につながり、満足度が高いほど信頼となって口コミで評判を広めていただくこともできます。

 一方、商品やサービスが期待よりも劣っていると不満に感じます。ここでポイントは、

 不満だけれど何も言わないお客様
 クレームというかたちで、意見や苦情を言ってくるお客様

 この2つに分かれるということです。
 多くのお客様は不満を感じたとき、そのまま我慢するか、期待はずれだったと他社へと移ってしまいます。「グッドマンの法則」によると、クレームを言うお客様と言わないお客様は1:9の割合だと言われています。
 クレームを言うほうも、電話をかけたり店を再訪して事情を説明したり、怒りをぶつけるのは、それなりにエネルギーが必要だとわかっているからです。

 

 そんなエネルギーを使ってでも、クレームを言ってくるというのは、お客様にあなたの会社のサービス、商品、またはあなたの接客態度に、大きな期待があったからこそです。
 それも事前の期待が大きいほど、「がっかりした」「だまされた」「こんなレベルか」と、残念な思いが、大きな怒りへと変わっていきます。

「責任者出して!」と叫ぶお客様の心理

 とはいえ、そんなお客様の怒りを静めるのは一筋縄ではいきません。様々なスキルが必要です。
 前項でもお話ししたように、私たちがクレームに過剰反応してしまうのは、そのスキルが足りないから。いきなり飛んでくる怒りに緊張し、どう対応してよいかわからないから不安になり、自己防衛本能が働いてしまいます。

 そもそも、クレームを言ってくるお客様が望んでいるのは、

 「今、起きているこの問題を、早く解決してほしい」

ということ。そういう状況であるにもかかわらず、逃げ腰でモタモタ対応していると、たいていのお客様は「上司や店長を出して」と言い始めます。
お客様は、
「自分の主張をわかってもらえるだろうか」
「どのように伝えたらいいか」
「言っても無駄かも……」
 と、様々な不安感や緊張感一杯でクレームを言いに来ています。なにも担当者に対して腹をたてて怒っているのではありません。
「上の人、出して!」は、「早くこの問題を解決して!」のサインです。
 ですから、お客様が分かってほしいと思っていることを、そのまま受け入れ、理解することが大切なのです。
 そこを間違えると、お客様は商品や担当者であるあなたに対してのみならず、会社全体に悪印象を持ち、クレームを解決してほしいという気持ちから、

 「この会社、文句を言って困らせてやらなければ気がすまない!」

という気持ちにエスカレートしていきます。
あなたの対応がお客様の怒りを大きくし、引くに引けない状況に追い込んでいってしまうのです。

 一方で、クレーム時の対応に満足して、好印象を得たお客様は、口コミで周囲に広げてくれます。クレーム対応はミスを挽回する絶好の敗者復活戦とも言えるのです。

 クレーム対応では、お客様の不満を最小限にとどめ、こちらの提案を承諾していただき、不承不承であったとしても解決に持っていければよいと認識してください。
 そして、お客様の理解が得られるような真摯な対応ができれば、「私のために一生懸命やってくれた」と信頼を得て、マイナスをプラスへと転換できるのです。

クレーム発生の原因画像

 

ワンポイント

クレームを言ってくるお客様の心の中は、不安や緊張感でいっぱい。まずはその感情をそのまま理解することが大切。

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。

出典:クレーム対応の全技術