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クレーム対応の全技術

第22回:「部分謝罪」と「部分共感」を使いこなす

「だって、さっきあんた、謝ったじゃないか」と言われないために

マジックフレーズだけでは限界がある

○問題点にのみ焦点をあてて謝罪、共感するのが部分謝罪と部分共感。
○全面謝罪→企業にとって危険な謝り方

 「すべてわたくしどもの責任です」
 気が動転して、お客様の話を把握せず、とにかく頭を下げてしまう
  ↓
 非はすべて自分にあると認めてしまう
  ↓
 弁償、損害賠償といった問題に拡大する危険性がある

○部分謝罪→問題点にのみ焦点を当てた謝り方

 「○○について不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」
 お客様の不満にポイントを当てて謝罪する
  ↓
 何に対して不満か、何に怒っているのかが明確になる
  ↓
 お客様の話に神経を集中でき、適切な謝罪ができる。解決も早くなる。

○部分謝罪は、お客様の怒りのもとを鎮静化させる作用がある。また部分共感はお客様の立場に立って問題を受容していることを表すのに有効な方法。フィードバックに部分謝罪、部分共感を加えると、謝罪の効果が高まる。

 

「1回使って故障するなら不良品、新品と取り換えて」(家電量販店のケース)

【Bad!】

「おたくで買った洗濯機なんですけど、使い始めて1週間で乾燥できなくなっちゃって、どういうことかしら」
担当者
「すみません、エラーナンバーは出てますか①」
「なに? エラーナンバーって。とにかく、乾燥できずに湿って終わっちゃうのよ」
担当者
「すみません、洗濯物の量とか多すぎてないですか?②」
「バスタオル2枚程度でやってみてもダメなのよ」
担当者
「そうですか、申し訳ございません。保証期間なので修理担当を行かせます③」
「あのね、修理じゃ納得できないのよ、だって1週間でこんな故障が起きるなんて、これは不良品よ」
担当者
「すみません、それはちょっと……、同機種で同じような例は出てないですし」
「だってさっきからあなた、謝ってるじゃない、絶対新しいのと取り換えてよ」
【Bad point】

①謝罪の仕方が唐突で、質問がわかりにくい
②謝罪のポイントが不明確な上に、お客様に歩み寄る姿勢が乏しい
③お客様が納得できるような案内ができていない

 

【Good!】

「おたくで買った洗濯機なんですけど、使い始めて1週間で乾燥できなくなっちゃって、どういうことかしら」
担当者
「1週間前のご購入でございますね、ありがとうございます。乾燥ができないとのこと、ご不便をおかけしております①」
「そうなのよ」
担当者
「お客様、乾燥ができないことを知らせるエラーナンバーは出ておりますでしょうか」
「出てないわ。でも、乾燥ができないまま湿って終わっちゃうの」
担当者
「恐縮ですが、洗濯物の量が多すぎるということはないでしょうか」
「それはないわ、今日、バスタオル2枚でやってみてもダメだったから」
担当者
「ご確認恐れいります。お客様、こちらの商品は、まだ保証期間内ですので、無料で点検修理が可能でございます。ご都合の良いときに、修理担当を行かせますがよろしいですか」
「できれば取り替えをお願いしたいの。1週間で故障なんて不良品じゃない?」
担当者
「たしかに、ご購入1週間で不具合が生じておりますので、製品に不信感を持たれるのも当然でございます②」
「でしょう? 家電は当たり外れがあるっていうし」
担当者
「ご要望に沿えず恐縮ですが③、こちらの製品が不良品であるとの報告はございませんので、修理対応とさせていただきたいと思います。ご了承いただけませんでしょうか③」
「そうですか、じゃあ、まぁ、とりあえず見にきてちょうだい」
【Good point】

①お客様の発言をフィードバックしながら適切にお詫びしている
②不満を共感で受け止め、少しでもお客様の気が晴れるようつとめている
③適切な部分謝罪ができているので、今後の対応に説得力が増している

古谷治子 写真

マネジメントサポートグループ代表 古谷治子
東京放送、中国新聞社にて9年間実務を経験。
その後、大学・短大等にて「就職支援講座」「ビジネス行動学」の講師を務める傍ら、心理学・カウンセリングを学ぶ。女性の自立を目的に開講した「マナーインストラクター養成講座」が雑誌等で取り上げられ話題となる。

出典:クレーム対応の全技術